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イモトアヤコに見る下町ロケット 会社員の世界、今むかし

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ドラマ下町ロケットの視聴率が低迷しているらしい。
お笑い芸人が多くキャスティングされている為とも言われている。

しかし、イモトアヤコは好演していると思う。
天才エンジニア、技術を見通すレベル、人を見抜く力。
太眉の怪獣演技派だと思っていたら、よくぞここまで気持ちの伝わる演技ができるものだ。  ドラマ自体は下町の中小企業、技術開発集団の企業が数々の困難苦難を乗り越えて一丸となって戦っていくという、考えてみればありきたりのドラマ仕立ての内容である。が、人間の真実 正しさ 優しさを軸としている限り、見る者の心には響いてくるものがある。

特に寝食を忘れて開発を追い込む技術者魂に燃えた姿は、過労死 ブラック企業 残業規制 働き方改革とかの言葉さえなかった30年ほど前、私が所属していたあるメーカーの開発部のそのままの動きを思い出させてくれた。 

開発部長が開発部に属す技術者を招集する。 現場の進捗結果を持ち寄り、各数値・問題点を照らし合わせる。
「よし!じゃあ次はここを見直してくれ。2時間後にもう一度集まろう。 では頼むぞ」と言う。号令がかかったのが深夜0時、午前2時にはまた開発部のリーダー格の二十数人が召集される 。
開発スケジュールの追い込みで、その下の技術社員約200名も技術棟内でうごめいている。 
残業が月200時間冗談のようだがそれでも泣く者 メンタルを壊すもの 死んだものはいない。何故か時間に無頓着となり目標に向かって一丸となる。
自分の会社 自分たちの仕事が好きで夢中になっている。午前4時に仕事を終えて、朝8時には会社に来ている課長がいた。あいつら いつ寝てるんだろう。 

 仕事はきついがそれでも社員は一人ひとりに上司の愛情が行き届き 本当に可愛がられ大事にされていた。 むたいなパワハラなどない。特に開発集団には こういう精神的なバックボーンがあったからこそ、こんな馬鹿げた働き方ができたのだろう。 そんな時代であった。
ブラック企業とまともな企業との違いはただ1つ。
社員を大事にしているか、社員を大事に思っているか、社員を成長させようと思っているか、これだけである。
だからこの下町ロケットのような単純明快 漫画チックなドラマも、まんざら嘘のように思えなくて共感する事になる 

さてその開発部にイモトアヤコが演じるような天才的な技術者がいた
当時開発部はメカ・電気・ソフトの3部門で構成されていたが、ソフト部門のリーダーが あの人は天才だと言われメンバーからよく相談を受けていた。
難解なことがあってもその人に聞くと新しい知見を得て、ソフト開発がステップアップする、そういう信頼と影響力を持っていた人らしい。

ある時、その人は実はうちの社員ではなく 派遣社員だと教えられたときの驚き。
機密だらけの開発の中枢に、外部の人が派遣として入っていた事が信じられなかった。派遣。そういう働き方もあるのかと思ったことを覚えている。
まだ当時は基本的に正社員ばかりで会社が構成されるのが当たり前の時代。
でも以降、気がついたら少しずつ、でもじわじわと、自分の会社に、開発に、製造に、事務の女性に、派遣社員契約社員が増えていた。  これが今日非正規社員と言う社会的な言葉になった。

下町ロケット。ドラマに出てくるエンジニアの世界。
あの者たちは 皆 正社員であろうか? それとも非正規であろうか?
正規社員の集団の力だろう。
非正規社員であろうと優秀な人はたくさんいるむしろ日々の仕事に向かう姿勢は自分の労働を時間売りしているだけに真面目でスキがない。しかし、集団、チームとしては、正規社員の集団でなければあれだけのパワーは出てこない。 非正規社員は生活に継続的な安定がない為、穏やかな気持ちで仕事に長期的に没頭するような取り組みができない。それを求めること自体、酷だ 。 誰がこんな働き方を作ってしまったのか  誰が働く仲間に差別を持ち込んでしまったのか。 

 

下町ロケットで描かれる中小企業の壮絶なしかし前向きな働き方。厳しい労働内容であろうが正規の社員としての  あの働き方  狂気のようなしかし前向きな気持ちが懐かしい
あの働き方でいいと思う。

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